ディジタル著作権 : 二重標準の時代へ
hot
{{detailCtrl.mainImageIndex + 1}}/2

ディジタル著作権 : 二重標準の時代へ

残り1点

¥1,650 税込

送料についてはこちら

著:名和 小太郎 出版:みすず書房 判型・頁数:A5判、296ページ 発売日:2004年3月16日 状態:B ■紹介(出版社サイトより) 本書は、電子環境の著作権について、法律、思想、規範、慣行、技術、システム、ビジネス、そして公衆の行動など、この事象を理解する上での重要事項を取り上げ解説する。複雑な著作権事情を判りやすく論じた意欲的な試みであり、本テーマにおける日本有数の著者の書き下ろしたこの書物は、正に必読の一冊と言えよう。 第I部において、著作権の理念、歴史、構造を示す。具体的には、まず、日常語の世界で、著作権がどのように理解されているかを示し、ついで、著作権制度の歴史と構造とを要約し、くわえて古典的・正統的な制度の骨子を紹介する。 第II部では、著作権制度がディジタル技術と市場経済によってどのように変質しつつあるか、さらにその保護領域をどのように拡張しているかについて、その入り乱れた状況を整理する。 第III部では、技術主導、市場優先の環境のなかで、現行の制度が社会における他の理念とどのように調和/衝突するのかを指摘し、著作権制度の近未来の姿を予測する。 「私が読者に訴えたいメッセージは二つである。第1は、現在、俗人と法律家あるいは著作権事業者とのあいだには、著作権の理解について大きい格差が生じてしまったことである。これはあってはならないことだろう。なぜならば、著作権は一つの法律であるにとどまらず、文明のあり方と深いかかわりをもつからである。私はここにこだわりたい。 第二は、現行の著作権制度は行き詰まるだろうということである。それは現在、あらゆるディジタル化した知的財産——磁気媒体、電波、ケーブルのいずれで流れようとも——を呑み込もうとしている。……その結果、複数の著作権制度が実質的に競合するようになるはずである。二重標準の時代が到来する。とすれば、私たちは強靱な意識をもたなければならない」(本文「はじめに」より) ■目次 はじめに I 理念・歴史・構造 1 日常語による定義 1.1 素朴な理解 先人の言葉、二つ/著作権像の見本例/辞書のなかで 1.2 法律の外から ソシュール流の理解/マクルーハン流の理解/ベンヤミン流の理解 1.3 著作権の正当化 公共財としての複製物/自然権論 対 インセンティヴ論/均衡論/知的所有権か、知的財産権か 2 著作権制度の歴史 2.1 著作権なし 2.2 多様な実験 出版特許の出現/恩恵から権利へ/監視から公有へ/人格権の創設 2.3 国際的な調和 海賊出版小史/ベルヌ条約/著作隣接権の導入 2.4 米国の優位 事業者主導/貿易的要因の導入/ディジタル技術への適応 3 著作権制度:正統派の理解 3.1 柔軟な制度 3.2 著作物 定義/著作物の連鎖/著作物でないもの 3.3 著作者 3.4 権利の枠組み 無法式主義/複製 3.5 権利の形 著作者人格権/財産的な著作権/著作隣接権 3.6 公有とのバランス 保護期間/権利の制度/私的使用/引用 3.7 権利の侵害 海賊行為と剽窃/侵害の判定条件 3.8 隣接の制度 特許権、そして企業秘密/独占禁止法 II  再構築 4 囲い込む、囲い込めない 4.1 柔軟な制度 再考 4.2 著作物概念の拡散 すべてが著作物/裸になった著作物/オリジナルの消失 4.3 継承と批判 完結と累積/巨人の肩の上に 4.4 二つの線引き問題 表現−内容の二分法/複製−使用の二分法 4.5 ベルヌ体制の黄昏 ベルヌ体制の前提/複製技術のパーソナル化/プロシューマの出現 5 芸術的作品の著作権 5.1 創作性 再考 創作性と差異性/創作性の解体 5.2 継承と批判:制度の中で 似る−似せる/二次的著作物 再考/内面的形式 5.  継承と批判:制度の外で 引用の慣行/剽窃のカタログ/パロディ 5.4 コンピュータ支援型作品 コンピュータの役割/パロディ的操作/シミュレーション 5.5 コンピュータ生成作品 ラピュタ流文章自動生成機械/チューリング・テスト/著作者としての機械 6 機能的作品の著作権 6.1 プログラムの位置 部品から商品へ/『CONTU報告』/紛争のプロトタイプ 6.2 表現/内容の二分法 再考 手続−プロセスの保護/抽象化−濾過テスト 6.3 複製/使用の二分法 再考 簿記システムの著作権/「実行」すなわち「複製」 6.4 リヴァース・エンジニアリング プログラムの場合/互換機 対 模倣製品 6.5 ユーザー・インタフェイスの権利 アイコンの独占/デスクトップ・メタファの独占 6.6 アルゴリズムの保護—特許権 ナッツの殻/いかなるものであれ/ビジネス方法特許/「物」になったプログラム 6.7 著作権 対 特許権 7 事実的作品の著作権 7.1 データの権利 表現の一意性/逸脱の型/生データと加工データ/データの独占 7.2 データベースの著作権 7.3 データベースの独自の権利 額に汗の理論/EUデータベース指令/カタログの権利 7.4 データベースのマタイ効果 7.5 データベースからディジタル図書館へ ディジタル——違う、同じ/ディジタル情報の長期保存 III  多元化 8 ネットワーク上の著作権 8.1 ボトルネックの支配 8.2 公衆への伝達 頒布権の多義性/中古品論争 8.3 頒布から送信へ 通信 対 放送/「送信」すなわち「複製かつ頒布」/通信と放送との融合 8.4 新しいコントロール方式 著作権管理情報のコントロール/コピー・コントロールからアクセス・コントロールへ 8.5 既成概念の拡張 もう一つの一時的複製/ハイパーテキストのリンク 8.6 権利強化の政策 ディジタル・アジェンダ/EUの試み 8.7 越境する著作物 著作権の避難港/インターネットの場合 9 ビジネス・モデルの変質 9.1 著作権ビジネスの構造 伝統的なビジネス・モデル/ビジネス環境の変化 9.2 家庭の市場化 私的使用 再考/訴訟例 9.3 第三者への強制 録音録画補償金制度/概括的、統計的、匿名的/ユーザー不在 9.4 著作権管理団体 独占から競争へ/集中か、分散か 9.5 電子的著作権管理システム 技術には技術で/法律を技術で/電子的契約/マス・マーケット・ライセンス 9.6 第三者への強制 再考 侵害者の探知/ピア・トゥ・ピア/ノーティス・アンド・テイクダウン 9.7 技術による代替 10 ユーザー主導の動き 10.1 もう一つのインセンティヴ これはパイプではない/二つの報奨システム/お布施理論 再考 10.2 フリー・ソフトウエア コピーレフト/伽藍とバザール 10.3 学術論文 共有かつ公開/引用、そして先取/学術雑誌の流通プロセス/自由流通型/囲い込み型/相互乗入れ型 10.4 公有のなかの私有、私有のなかの公有 11 残された課題 11.1 制度内の均衡化 人格権と財産権の分離/権利保護 対 コスト負担/権利制限 再考 11.2 隣接領域との調和 表現の自由/プライヴァシ保護/反ディジタル・デバイド/先住民の権利 11.3 技術による代替 再考 12 二重標準の時代へ 12.1 三つの駆動力 競合する利益集団/分裂する著作権概念/三つの実験システム 12.2 近未来の著作権像 12.3 先人の言葉、さらに二つ 引用文献 人名索引 事項索引 ■著者プロフィール 名和小太郎 なわ・こたろう 1931年、東京生まれ。1956年、東京大学理学部物理学科卒業。工学博士。情報処理学会フェロー。石油資源開発(石油探査の研究)、旭化成(ロケット・エンジン及びパケット通信網の開発)、旭リサーチセンター取締役(技術政策研究)、新潟大学法学部教授(情報法)、関西大学総合情報学部教授(ネットワーク論)を経て、現在、国際大学GLOCOM客員教授、及び、江戸川大学客員教授。公職として、国立国会図書館科学技術情報整備審議会、郵政省通信放送融合懇談会の委員、著作権審議会、統計審議会、科学技術会議、工業標準化調査会の専門委員、学術著作権協会理事、日本データベース協会座長代理などを歴任。著書に、『電子仕掛けの神——法制度を揺るがす情報通信技術』(勁草書房 1986)、『技術標準 対 知的所有権』(中公新書 1990)、『雲を盗む——法廷に立たされた現代技術』(朝日新聞社 1995)、『サイバースペースの著作権』(中公新書 1996)、『科学書乱読術』(朝日選書 1998)、『デジタル・ミレニアムの到来』(丸善ライブラリー 1999)、『変わりゆく情報基盤』(関西大学出版部 2000)、『起業家エジソン』(朝日選書 2001)、『学術情報と知的所有権』(東京大学出版会 2002)、『ゲノム情報はだれのものか』(岩波書店 2002)などがある。